2010年6月20日日曜日

横書きにやられてしまったみたいです。

僕は小さい頃から本の好きな子どもでした。小説が好きになったときのことは、ブログに以前書きましたが、その兆候は子どもの頃からあったようです。文字がとても好きだったんですね。そういえば、まだ五歳や六歳くらいの子どものころの記憶で、はっきり残っているもののひとつに「あいうえお表」があります。ずいぶんそれを繰り返し見て、眺めて、覚えて、文字と言葉を使えるようになろうとした記憶があります。

言葉の音との関係のことを僕はよく考えていました。

「『か行』の音は規則的なのに『た行』はちょっと違う気がするなあ。た、てぃ、とぅ、て、と、のほうが音の流れで自然な気がする。『だ行』の『ぢ』は『でぃ』っていう音のほうがいいんじゃないかなあ。」

そんなんでしたから、小学校3年生の頃に、母からワープロのキーボードを教えてもらい、ローマ字を知ったときは、そのモヤモヤがぶわあっとひらけたような気がしました。

幼稚園のころに僕が書いた絵が、二十歳を過ぎてからのあるとき、実家の押し入れか何かから出てきました。それをみて母はいいました。

「まさひろの絵は、よく文字が書いてあるんだよね。注釈がついてるの。八百屋の絵には『やおや』とか、学校の絵には『がっこう』って但し書きがついてる。」

言われてみれば僕の書いた絵の多くには、どこかしらに文字が書いてありました。たぶん、文字の伝えられる力みたいなものを、子どもながらに感じていたんじゃないかな。といまになってみると、思います。

さて、そんなふうにして本をよく読むようになった僕なのですが、最近、たまに本をよむのに疲れを感じてくるようになりました。あれあれどうしたんだ僕、とずうっと不思議に思っていたのですが、ようやくその正体が分かりました。

インターネットでブログを読んだりするのはすごく楽しいのに、なんで本を読むのにこんなに疲れを感じるんでしょう。それでもやっぱり本は好きなので、たぶんそこそこは読んでいるのですが、やっぱり昔よりずっと疲れる。それをここのところ、なんども不思議に思っていました。内容がつらいのではないのです。すごく面白い本でも、やっぱりちょっとつかれてしまうのです。けれどつい先日、つかれる本とつかれない本の違いに気づきました。

縦書きが苦手になってしまったのです。

あまりにもネットやメールで横書きに慣れてしまって、生活の多くを横文字に満たされてしまっているので、縦書きがちょっと苦手になってしまったのです。

これには自分でも驚きました。

なにせ小さな頃から本好きでしたから、それなりに縦書きの本に対する愛着が自分にはあると思っていたのです。特に小説は縦書きでなくてはならない、とそんな思いをどこかで共有していたような気さえします。しかし身体は正直というか、すっかり横書きに僕は慣らされてしまったようなのです。

そんなわけなので、実は電子書籍に僕はこの点でちょっぴり期待しているのです。できれば、デフォルトが縦書きでも、横書きにして読めるようなかたちで出版されることが多かったらいいなあと。

ただやっぱり小説などは縦書きで、という思いがちょっとあるのも事実です。たぶん横書きだと身体というか僕の眼には読みやすいのですが、気持ちが何だか横書きをやんわり拒否してしまうような気がします。