2010年8月17日火曜日

かもめ食堂からまなぶベンチャー精神

僕の好きな映画に「かもめ食堂」という映画があります。監督は荻上直子さん。

僕がこの監督をはじめてしったのは、ぴあフィルムフェスティバルの「バーバー吉野」のときでした。その監督が新作を撮った、しかもこのメンツ(小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ)で撮ったというので、公開初日に、いそいそとひとりで観にゆきました。

「かもめ食堂」が好きな僕は、もちろん「すいか」も好きで「セクシーボイスアンドロボ」も好きで……という話も出来るのですが、今日はこの「かもめ食堂」の話。

この映画「かもめ食堂」は北欧のフィンランドのヘルシンキを舞台に食堂を開く女性のおはなしです。素敵な風景や音楽や自然や美味しい食べ物、ゆったりと流れる時間や空間、とても心地の良さそうないきいきとした暮らしを描いています。

この映画では、あんまり主人公が苦労している様子とか、そういうところってあんまり描かれません。それをリアリティの欠如みたいな言い方で批判する人もいるのかなあ、なんて考えたりもするのですが、僕はそうは考えていません。この主人公の力強い自由さ、心の余地の大きさ、そういったものが、この映画に、常に豊かな幸福感をまとわせているのだなあと僕は思います。

このかもめ食堂って、実は相当なチャレンジャー企業なんですよね。日本のソウルフード・おにぎりという製品を、フィンランドで展開している、いうなればベンチャー企業なわけです。豚のしょうが焼きなんかも出しています。

日本ではほとんど教材もないようなフィンランド語を勉強し(実は、僕はフィンランド語学習に手を出したことがあるのですが、まるで歯が立ちませんでした)、店舗を契約し、飲食業を開業する――映画ではその主人公の強いバイタリティは積極的には描かれていませんが、それを僕は以下のセリフに垣間見ることが出来ました。

「毎日 まじめにやってれば、そのうちお客さんも来るようになりますよ。それでも だめなら その時はその時。やめちゃいます。でも大丈夫。」

ね。すごいでしょう。

美味しいものをたべて、笑顔でしゃんとして、人を受け入れる余地を広げていく――。僕はこれって並大抵のことでできるようなことじゃないと思うんですね。

かもめ食堂のスタンスは「フツーのものを、きちんとつくる」。

もちろんフィクションなので「実際にはこんなうまくなんかいかないよ」なんて批判もあるだろうとは思うのですが、何かしらふっくらとした希望のようなものを与えてくれる作品だなあと僕は感じました。

荻上直子
バップ
発売日:2006-09-27

その荻上直子監督は、最新作の『トイレット』を今月、8月28日に公開する予定だそうです。かもめ食堂にも出演している、もたいまさこさんが出演するみたいです。