2010年10月22日金曜日

ネットユーザーじゃないひととでも分けあえる「共感の楽しみ」

いろんなところにいろんな情報がある。

言葉や映像や画像や音楽や、それらはときに、僕たちにとって思いも掛けない変化をもたらすと思うし、それらはときに僕たちにとってとても大事な、他には代えがたい価値を持つことがあると思います。

けれどそれらは、あまりにも増えている。僕はそう思うのです。インターネットのかつてない普及の速度によって。


今ではインターネットで利用されるデータ量は世界中のビーチの砂つぶの数よりも多いといいます。

それだけ大量のコンテンツに囲まれていて、それぞれのあいだで見ているものが違ったりすると、友人たちとのあいだで「共感」が減ってきます。

よく言われていることだとは思うけれど、たとえば昔は、朝、会社に、教室に出かけていったら、みんなおんなじテレビ番組の話をしていた。けれど、いまはそうはいかないです。みんなそれぞれ自分の嗜好にあわせたものを見ていて、好みもどんどん多様化していきます。

みんなおんなじマンガを読んでいないし、みんなおんなじ番組を見ていません。

いや、共通して見ているものがないとは言いません。けれど、コアな好みが一致する機会は、減ってきているように思います。先日のエントリでもちょっと似たようなことを書いたかな。「僕が当たり前に知っていることも、誰かにとっては新鮮な知識」なんですね。

でも「共感する楽しみ」って結構大事じゃないですか。だからみんな「みんなが観そうなもの」をチェックしたりしているなあと僕は思います。

たとえば、はてなブックマークなんかは、まさに「みんながみているものって何?」っていう欲求を満たしてくれるようなメディアだと思います。でもあれだって、確かにはてなのホッテントリのトラフィックはすごいだろうけれど、結局は、あんなの見てるのだってほんの一部。

ネット上で話題になったものを逐一チェックしているのなんて、IT業界で働いているひととオタクくらいなもんだ。暴言かもしれないけれど、僕はそう思うのです。

じゃあ、IT業界で働いている人でもなく、オタクでもなく、ネットのヘビーユーザーでもないそんな友だちと「共感する楽しみ」って、どうやって分け合ったらいいんだろう?

チェーン店の新商品」と「映画」。

このふたつは、その答えの代表的なものなんじゃないかなと思うのです。映画の話はまた後日。今日はチェーン店の新商品の話です。

日本マクドナルドは、2010年上期に211店舗の「戦略的閉店」を行い、減収減益の決算を出しました。しかし、これは表面上のことで、実態としてはマクドナルドの業績は回復し、経常利益は前年同期比58%の増加。売上高経常利益率も前年の4.9%から8.7%へと、大幅に改善をみこんだのだそうです(日経ビジネスオンライン参照)。

参照先の日経ビジネスオンラインには日本マクドナルドの業績改善について様々なことが書かれています。なので、より深い話はそちらもお読みください。

僕がマクドナルドの業績回復、それにいたる「価値売り企業」に転換できたのは、なによりも「『共通の話題』を売りはじめた」ことではないだろうかと思っています。

特にそれを強く感じたのは「ビッグアメリカ」のシリーズです。「マクドナルドを生んだアメリカ」をイメージして企画されたそのシリーズは、テキサスバーガー、ニューヨークバーガー、カリフォルニアバーガー、ハワイアンバーガーの4つの新商品をそれぞれ期間限定でリリースするというものでした。



2004年頃までに根付いたと思われるマクドナルドのイメージといえば「安い」でしたが、このバーガーたちは、ファーストフードとしてはお世辞にも安いとはいえない価格帯でした。

しかし、少なくとも僕の周囲では、このビッグアメリカシリーズの反響は大きく、多くの友人がこれらの商品の「食べくらべ」をしていたのです。4つのうちどれが一番美味しかったか。そして、食べに行ったときはツイッターで報告。これは日本マクドナルドの戦略通りだったのだろうと思います。

そして、おなじくファーストフードで、日本における主要な位置を占めている「牛丼チェーン」についても同様のことが言えます。

吉野家、松屋、すき家、その他にも様々な牛丼チェーンがあるなかで、この3店舗は特に東京に住んでいれば駅前にほとんど必ずあるといっていいチェーンです。このうち、吉野家だけがここ数年のあいだ、松屋やすき家にシェアを奪われ、業績の悪化を続けていました。

吉野家とその他のチェーンのあいだに、確かに様々な差異はあります。例えば松屋だと味噌汁がつくだとか。

けれども、なんといっても特に大きな差異と僕が感じていたのは、なによりも「目新しい新商品の不在」と「バリエーションの無さ」でした。特に松屋は、新商品の投入に最も積極的で、店舗の前を通れば、いつものぼりに新商品の告知があるというイメージが定着しています。松屋に行けば、新商品を食べて、それを友人に話したりすることができます。

「このまえ、松屋のマグロ漬け丼食べてきたよ~」
「えっ、あれどうだった~? 気になってたんだよね~。あたしも食べに行こうかな~」

対して吉野家は、牛丼と豚丼のセットメニューの組み合わせを変えたり、時に新メニューを入れても目新しさに欠けていたり。多くのユーザーに「吉野家は単に安く食事を済ませるところ」以上のイメージを持たせることは難しかったのじゃないかなと思います。

ご存じの方も多いとは思いますが、マクドナルドと同じく、吉野家も業績を好転させることに成功しました。「牛鍋丼」を食べた方も多いですよね。

たぶん、それも「共通の話題」を売ったことが大きな要因なのではないかと思っています。牛鍋丼は安いだけではなく、「牛肉を減らしてしらたきや豆腐を増やした」ことにたいする賛否両論があって、それが話題になりました。

僕の周囲でも「牛鍋丼はアリかナシか」をtwitterなどでつぶやいている人が何人もいて、「じゃあワタシも食べてみようかな」という人が多かったように思います。

ところで僕は来週、その吉野家のブロガー限定新商品試食会に出かけてきます。

今話題のステルス……じゃなくて、とりあえず食べてみて素直な感想をブログに書くも書かないも自由だよと言われているやつです。お金はもらってません。ただし、食べもので買収されてます。

新商品は「牛キムチクッパ」だそうです。楽しみ。