2010年11月12日金曜日

ゲイライフっておもしろい

ゲイライフって面白い……と最近つくづくそう思うのです。

思春期にはそりゃあつらいことも、それなりにありました。特に地方で育ったことは大きい。あの田舎には本当に何もなかった。たぶん僕はあの田舎町にはもう戻れません。たとえ飢えても、東京だけは離れたくないと心底から思います。


この記事を読んでいる地方の中高生なんかがいるとする。僕が言ってあげたいアドバイスはたったふたつです。「東京においで」。あともうひとつは、「これから先はぐっとよくなるよ」。

ゲイであることを自覚した時期には人によって差があると思います。

小学校5年生のとき。僕は当時バスケ部にいました。正確に言えばミニバスケ。そのときのコーチの弟さんが、何気なしに言ったひとこと。

「おまえらゲイかよw」

部員同士で仲がよさそうにしている、その様子をみて、放たれたヒトコト。ゲイ? ゲイってなんだ?

しばらくして僕は意味を悟りました。

まさに自分のことだということを理解しました。

クラスメイトの男子に惹かれる。コンビニのエロ本棚の女性をみても、なんにもエロイと思わない。水泳の着替の時にクラスメイトが気になってしまう。

ああ……そういうことなんだと。

罪悪感に駆られる? そうではなかった。ただぼんやりと、自分が生きていく道みたいなものがぼやけるようでした。

仕事とか、勉強とか、そういうことは考えることが出来た。だからそのことばかり考えていました。けれど……結婚? 彼女? 子ども? 家庭? 僕って、そのへんのこと、どうして生きていけばいいのかなあ……。

周囲のオトナを見渡しても、ゲイライフを歩んでいる人なんていません。全然参考にならない。モデルになる人がいない。こういうひとになればいいんだ、そう思える人が誰もいませんでした。

あの当時、僕には、自分が恋愛をして、恋人を持って、誰かと生きていくくらしが存在するだなんてことを想像するちからが、ありませんでした。

生きていくことがわからずに、ときどき気を失いそうだった。

そしていま、24歳、東京。

上京から6年。あのころ思っても見なかったような展開が、僕を待ち受けていました。

今ではゲイの友だちもいる。今はいないけど、彼氏も出来た。知人にも家族にもカミングアウトした。友だちとは、一緒にあそびにいったりご飯を食べたり酒を飲んだり。泊まりに行ったり旅行に行ったり。将来の不安を語り合ったり、セックスの悩みを打ち明けてみたり。

あのころの未来に、こんな世界が待ち受けているなんて思ってなかった。

なにより大きいことは、ゲイってこんなにたくさんいるんだ!! という実感。

最近特に驚いているのは「ゲイってこんなにつながっているんだ!」ということ。僕もゲイのネットワークにはその末端にまだ加わったばかりだけれど、それでもそのつながりの深さに驚かされてばかりです。

ゲイのネットワークって、年齢・職業を問わずつながっている。あまねくひろく、そして強くつながっています。同郷とか、同校とか、そんなネットワークの比じゃない。ゲイだっていうだけで、普段はとても知り合えないようなひとと、分かりあえたり友達になれたりする。

口コミとかも本気ですごい。ハンパじゃない。

お互いがゲイだと分かった瞬間の「ああ、それならお互いに基本のことはざっくりわかりあってるね」という安心感。社会で生きていくことにはお互いに困難もある。だから、ちゃんとそのあたりが分かっている相手って、安心できる。コミュニケーションのとりかたも、やっぱり自然体でいられる。

ゲイとして生きることには、理不尽なデメリットもたくさんある。先頭にたって、世の中の現状を変えてくれたひとがいます。そのおかげで、随分マシになってます。けれど、まだまだ。

ただ、デメリットだけじゃなくてメリットだってたくさんある。そう思うんです。

この前、2丁目を友人と歩いているときのこと。

とある数人のゲイ男性が、お店に入っていくところに出くわしました。それは、60代から70代くらいの数人。ずいぶん長い付き合いの友人たちのように見えました。

そのとき、ふと感じたんです。

「ああ、僕たちもいつか年を重ねて老いたころまで、あんなふうに友だちでいられるかもしれない」

あのころ未来なんてまるで見えなかった。途方もなく暗い闇の中にいるような気がしていた。

けれど、ゲイというつながりは僕が思っていたよりも厚いものでした。



この東京という街の、あちらこちらに僕たちの仲間が居場所を作っている。あのころはまるで見えなかったその居場所のすきまが、そのふところの深さと、はりめぐらされた網の丈夫さとが、僕は今、ようやく見えてきたようなところです。

もちろん東京だけじゃないけどね。特に東京はすごいなと思うだけ。日本全国に、そして海外に、いろんなところにその網の目はひろがっている。

ゲイに生まれたからこそ見えた世界。

あのころの自分に言うことができるとしたら「これから先はぐっと良くなるよ」。だから「東京においで」。