2011年7月26日火曜日

どのバッハを聴いたのか――サカナクション新曲『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』

サカナクションはエレクトロとギターロックの融合にくわえて、現代文学的、センチメンタリズム的な音楽表現を試みているバンドだという認識です。

ロックやバンドの方面にはうといのもあって、あまり熱心に追いかけてはいないのですが、いちおう好きです。新曲が出ればチェックするくらいには好きです。

今回の新曲『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』も良いですね。

感情の理由について「なぜ」「なんのせいか」という焦点の当てかたは、サカナクションらしい叙情的な表現だし、そこにエレクトリックなサウンドと暗いアートワークが重なることで、センチメンタリズムが増幅されるというかたちになっていることも魅力的です。

バッハの旋律を夜に聴いたせいです こんな心

いちいち感情の理由をあきらかにしたがる、しかも、クラシックのバッハを持ち出してきて、その強大な古典に感情の理由をゆだねる――。シンプルな歌詞。孤独な感情を豊かなものにしようとする、そんな意図を僕は感じてしまいます。とても、現代的。

サカナクション
ビクターエンタテインメント
発売日:2011-07-20


さて、多くのひとがその疑問をもつと思われる――「どのバッハを聴いたのか」。

答えは「チェンバロ協奏曲第1番」みたいですね。





楽曲の途中で、不意にピアノの独奏が流れるという構造も似せてありますね。

さらに僕は、「バッハの旋律を夜に聴いたせいです こんな心」というサビのメロディがバッハ『小フーガト短調』の主題の変奏のようにも聞こえます。もしかしたら気のせいなのかもしれませんが……。

気になる方は聴き比べてみてください。



僕はこの小フーガト短調がとても好きです。

模倣しあう2つの主題が魅力のこの曲ゆえに、サカナクションがこの旋律を模倣して変奏したのだとしても不思議ではないような気がします。