2011年8月10日水曜日

ロンドンの暴動 ― ロンドンは燃えている

ロンドンの暴動に興味を持ってニュースを読んでいます。

僕は移民政策と多文化共生に賛成するひとりだからです。


イギリスの移民政策は、ここ二年間くらいの間、いくつかの変化を遂げてきていたみたいです。

イギリスでは長い間、移民問題が大変おおきな問題になっているそうです。

イギリスに移民が大きなメリットをもたらしてきたことは確実のようです。安価で優秀な労働力として、医療や福祉といった過酷な労働現場ではウガンダやパキスタンからやってきた移民たちが活躍を続けていました。

しかし、その一方で、移民を含む若者の貧困層は、いつ失業の憂き目に合うかもわからないかたちでの生活を受け入れざるを得ない社会情勢が続いていたようです。

若者の失業率は2割、移民の若者の失業率は4割。しかし、今まではそれでも手厚い福祉制度によって、彼らの生活は支えられていました。

この福祉制度と移民制度に対して、中流層のイギリス人の多くが不満を持っていたようです。

働くことができないもの、優秀でないものは祖国に帰れ、低賃金の労働者が増えるとイギリス人の賃金にも下落圧力をもたらすから祖国に帰れ。福祉を削れ。自己責任の貧民の福祉を削れ。

昨年の6月9日、イギリスは欧州域外からの移民について「英語試験の義務化」というかたちで制限することを発表しました。

このころから、いかに優秀な、自分たちイギリス人にとって役立つ移民だけを選別して取り込んでいくか、という方向にイギリスの中流以上の階層の人々が議論を繰り返すようになっていったのではないかと思われます。

「イギリス人労働者を優先しろ」

差別的言説や嫌悪感たっぷりの言説も多くネットやメディアで繰り返されたようです。

昨年の10月には、四年間かけて10兆円の歳出削減という政策が打ち出されました。

ここでは主に福祉支出が大幅に削減されました。最貧困層への打撃は非常に大きかったようです。

今年の4月にはキャメロン首相が移民受け入れを制限する方針を打ち出しました。

前政権で大量に受け入れてきた移民政策をひっくり返し、現政権では、優秀な移民のみを受け入れていくという声明です。

そして今月の6日、麻薬や銃取引への関与の疑いをかけられていた男性(移民、黒人、無職)が警官に銃殺される事件が起きました。

移民、そして移民と共に働く若者が、この一連のイギリスという国で起きていたことの流れの中で、いったいどのようにモノを考え、どのように不満を抱えてきたか。ましてや、それよりも幼い子供たちは、どんな淀んだ空気の中で嫌な世の中に生まれたことか。

僕はかつてロンドンを訪れたとき、夜のきらきらひかるビッグベンに、何も感じず何も知らず「きれいだな」とだけ思ったことを覚えています。

暴動を起こした若いイギリスの子どもたちにとって、あのビッグベンは、もしかしたら憎悪の対象だったんだろうか……。

「ロンドンを燃やせ!」と書かれたSNSの書き込み。

今回の暴動に、差別や貧困の問題は関係なく、ただ暴力にはしった問題児たちの悪事、とだけ考えている人は多いみたい。

関係ない? ほんとうに?

差別や貧困、社会がまとう空気、政治の腐敗、みえない未来、立派な大人どもの視線。若い心がそれに反応しないわけがあるだろうか?

「よくわかんないけどムカつく」だろう。

もしも僕が、肥えた大人たちに使いたい時にだけ使われるだけの移民の親をもつ子どもに生まれていたら、その移民と同じように劣悪な教育と暮らしを強いられ「ゆとり」なんて蔑まれる子どもに生まれていたら、同じことを書いたのかもしれない、と想像しています。

想像と伝聞でしかありませんが、海の向こうのイギリスのニュースが気になるのです。それは、日本でも戦いが起き始めているような予感がしているからです。

ザ・クラッシュ「ロンドンは燃えている」のYouTube動画に、こんなコメントがついているのを見つけました。

「London actually is burning at the moment」

ロンドンはいままさにこの瞬間、燃えている。



失業/階級制度/退屈といった、ロンドンの若者たちが内包していた苦悩、怒りといったものを如実に反映した、まさに「ストリートのためのサウンド」だと言われています。