2011年10月11日火曜日

きゃりーぱみゅぱみゅについてそろそろ一言いっときますか

アニメやファッションなどの日本発信文化産業を海外に売り込む政府の戦略「クールジャパン」。

つい先日、野田佳彦首相によってそのロゴが選ばれましたね。

ユニクロのロゴで有名な佐藤可士和によってデザインされたそのロゴは、日の丸がスライド移動しているようなデザインです。すでに多くの人に指摘されていますけれど、1993年にデザインされた日本オリンピック委員会のエンブレムに酷似しています。


問題なのは酷似しているということでしょうか。

僕はそれよりも、こういう「造形性の低い」デザインの発想そのものが、これほど前からずっと変わっていないということのほうが問題だと思います。

クールジャパンという言葉は、90年代初頭に使われた「クール・ブリタニア」が語源です。この「クールジャパン」戦略は、国の文化を「クール」と表現するその90年代的な感覚を、このロゴとともにいまなお引きずっているという証左ではないでしょうか。

そう、「クール」そのものが、そもそも的はずれな形容詞なんだ、と僕は思っています。

その点、中田ヤスタカは違う。

どこまで確信してやっているのかは定かじゃありませんけれど、はじめから世界を相手にしたスタイルで「きゃりーぱみゅぱみゅ」をデビューさせたのは、すごいセンスだと思います。




海外の耳のはやいリスナーからすでに強い支持を受けているのは、当然。カワイイ、ハラジュク、オンナノコ。フィンランドやベルギー、スウェーデンといったエレクトロの本拠地である北欧圏を中心に反響が起きているようです。

おそらくブームのきっかけになったのはYoutubeだろうと言われています。

中田ヤスタカの名前はすでにPerfumeによって知られていることだろうし(もちろんCapsuleだって一部には知られている)、単に向こうのエレクトロリスナーのあいだでも楽曲の中毒的なセンスが強くヒットしたのだ、と思えば海外人気もうなずけなくはありません。

でも、たぶんそれだけじゃありません。

おそらく、中田ヤスタカときゃりーは「日本」のイメージを強く背負ってこの楽曲を海外に発信したのではないでしょうか。そしてその聖地として「原宿」をかかげました。

たぶん、「クールジャパン」の発想をしていたら「秋葉原」を選んでしまったでしょう。

でも、違う。中田ヤスタカときゃりーのセンスは、「原宿」にこそありました。

原宿のストリートスナップがすごい件
http://hamusoku.com/archives/4026899.html

そしてそのセンスこそが、海外でのヒットに結びついたのではないか、という気がします。

きゃりーが背負う日本は「クールジャパン」ではありません。

きゃりーぱみゅぱみゅは「Weird Japan(ヘンな日本)」のアイコンなんです。

クール(Cool)じゃない。きゃりーが背負うフレーズは「ヘン(Weird)」な日本なんです。

変顔ぱみゅぱみゅ

こう考えてゆけば、きゃりーがデビュー直後に「和製レディーガガ」と称されたことにも、いくばくかは辻褄があうような気がします。

すなわち、ガガが「Queer」の象徴であるのに対し、きゃりーは「Weird」の象徴なんですね。

参考:日本の奇妙(Weird)なモノを集めた海外のウェブサイト「Japan is weird」
http://japanisweird.com/

人種のるつぼ、ダイバーシティ(多様性)の国・アメリカが持つ「Queer」のアイコンがガガ。それに対して、極東の島国、ガラパゴス進化と変態性の国・日本が「Weird」のアイコンとしてきゃりーを登場させたのだと考えれば、ふたりを比較したくなる気持ちはわからないでもありません。

The cute 'n' kooky world of Kyary Pamyu Pamyu, Japan's newest pop idol
http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/fm20110929a1.html

アーティストとしての実力やパワーで比べてしまうと、正直きゃりーは見劣りしてしまいます。それに、なによりもガガときゃりーでは、目指すものが明らかに違います。けれど、少なくとも同じように「」と訳すことのできるフレーズを象徴として背負っているわけです。

デビュー曲である「PONPONPON」のフレーズの中毒性は言わずもがなですが、大事なのは「なんか少しズレてて、ちょっと意味がわからない変態的な完成度をもっている」ということ。ガガはものすごくストレートなメッセージを歌うけど、きゃりーは基本何言ってるかわからない。

そして、そのズレこそが、「cute」と「Kawaii(カワイイ)」の差なのではないでしょうか。単なる「cute」にはないものを、日本の「Weird」な「Kawaii」は持っているということです。

きゃりーの妄想と現実、脳内世界をコンセプトにしたというMVは、田向潤というディレクターの作品で、その美術担当は増田セバスチャンというアーティストです。彼は「Kawaii」を海外に大きく発信した人としても知られています。

これからもこの素晴らしいアートディレクションできゃりーぱみゅぱみゅというアーティストを発信して欲しいですね。

ただ、きゃりーぱみゅぱみゅ。

残念なことがひとつだけ! デビューアルバム「もしもし原宿」には、収録曲として「PONPONPON」以外にも、オリエンタルな変態性をまとった「チェリーボンボン」など素晴らしい曲が収録されているのですが……。

capsuleの名曲「jelly」をきゃりーバージョンで収録したのは、どう考えてもミスなのではないかという気がします。本家のこしじまとしこバージョンに対して、まるでいいところが見つからないので。

確かに「jelly」という楽曲はきゃりーの「カワイイ」にぴったりではあるんですが、でも、リサイクルはしてほしくなかったですね。もっと新曲が聞きたいです。


きゃりーぱみゅぱみゅ
ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2011-08-17


追記:この記事の続編書きました。

COLTEMONIKHA(コルテモニカ)はきゃりーぱみゅぱみゅの逆をゆく
http://masafiro1986.blogspot.com/2011/10/coltemonikha.html