2011年10月20日木曜日

今更かもしれないが「万能鑑定士Qの事件簿」を読んだほうがいいよ

万能鑑定士Qの事件簿」という小説を知っているでしょうか?

面白くて知恵がつく人が死なないミステリ」をテーマに、殺人事件どころか作中では自然死すらも描かれないという特徴を持つミステリー作品で、作者は松岡圭祐。ご存知かつて「千里眼」シリーズでヒットを飛ばした作家です。

つい最近読み始めたのですが、これが大変テンポが良くて面白い。

なんでこんな面白い作品を12巻も刊行されるまで見逃していたんだろう、そういえばいつからこの作品は刊行されているんだろう、と思って作品の奥付をチェックしたらビビりました。

松岡 圭祐
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2010-04-24


第1巻の刊行日が、2010年4月24日。そう、去年の春

去年の春から刊行をはじめて、もうすでに12巻。2ヶ月に1冊というかなりハイペースな刊行です。

さらに、この作品は文庫にて書きおろしという形式で発売されています。

これでうっかり見落としていた理由がわかりました。僕は書店での新刊チェックをハードカバーとノベルスのコーナーでしか行わないため、はじめから文庫で発売されていたこの本には気づかなかったのです。文芸誌・ミステリー誌での掲載もなかったので、まったく見落としていたというわけです。

いつの間にか巻数を重ねていたため、てっきり随分前の作品の文庫化なのかなと思い、文庫棚で見かけることがあっても、まさかこんなに新しい作品だとは思っていなかったのです。

同じような理由で見落としていた人は多いのではないでしょうか。

テレビCMまで打たれているというし、書店では目立つコーナーに置いていますし、シリーズ累計170万部という数字も考えると、すでに多くの読者がついていることは明らかです。

ですから「今更知ったの?」という声もある気もしますが、一方で「なんかいつの間にか人気シリーズになってた」という印象を抱いている人もわりと多いのではないでしょうか。

はてなブックマークで検索したところ、この本を紹介した記事でブクマがついているものはほとんどありませんでした。やはり、僕と同じように「見逃していた」人が多いような気がしてなりません。

原則的に刊行時が物語の中でも「現在」と設定されている、というのがこのシリーズのもっとも特徴的なポイントです。2010年12月25日に刊行された7巻は、同日閉店になった西武百貨店有楽町店の閉店セールのもようが描かれています。

また2011年4月23日発売の9巻は、すでにその一カ月前に起きたばかりの東日本大震災後の設定になっています。

それだけではなく、どうみても明らかに実在の超有名タレント容疑者による事件をモデルにしているとしか思えない事件(まだ多くの人の記憶に新しいはずの最近の事件です)や、かつてネットでも話題になった力士シールの存在など、現実の世界でおきたことを巧みに作品の中に取り入れている、非常に意欲的な作品となっています。

実在の企業名や商品名、マスコミ各社、ブランド名やアーティストの名前、建物の名前などに至るまで、実名が頻出するのも特徴です。

メインの登場人物である小笠原悠人は角川書店の編集部勤務の記者であり、作中ではかなりリアルな形で角川書店の内部が描かれています。

そのほか、早稲田大学理工学部の准教授が登場するのですが、早稲田の建物も正確に描かれており、実在の学部名称の変更にともなって、7巻までは基幹理工学部、8巻以降は先進理工学部応用物理学科になっているなど、現実世界との同期性にはかなりこだわっているようです。

作風としてはかなり都合のいい展開も頻出するため、一部の読者からは批判的にみられることもあるかと思います。正直、突っ込みどころは結構あります。

しかしそれを上回るテンポの良い展開と、読みやすく小気味よく雑学が散りばめられた構成には、これこそエンターテインメントであると感じざるを得ません。

2010年から今までの記憶が新しいうちに、さっそく今すぐに書店で手にとってお読みになることをお勧めします。

もう文庫になっているんだから、文庫落ちを待つ必要もありません。

万能鑑定士Qの事件簿」、通称「Qシリーズ」。事件簿編は現在の最新となる12巻で完結し、さらに12月からはセカンドシーズンがはじまるのだそうです。早すぎだろ!

リアルタイムで加速進行するこのエンターテインメント、最新刊まで一緒に一気に追いつきましょう。

重要な追記:

1巻と2巻だけは同時に購入することをお勧めします。1・2巻のみ上下巻構成になっています。

松岡 圭祐
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2010-04-24


松岡 圭祐
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2010-04-24