2012年10月6日土曜日

ネットから加速する新・モー娘。の現在

2011年以降、新・モーニング娘。が加速しています。

前作「One・Two・Three」は初週売上10万枚を達成。YouTubeなどの再生回数も上昇を続け、ファンビデオのアップロード数も再生数も、明らかにファンの増加を示しています。

モーニング娘。がまたキテるらしい
http://matome.naver.jp/odai/2134162056982741401



アイドルとなるとやはりAKBと比較されがちです。そしてAKBに比べてしまうと、CDの売上やマスメディアなどへの露出度において、モーニング娘。は見劣りしてしまうのは事実です。しかし、そもそも僕は「AKBとモー娘。は完全に別物」だと考えています。商売の方法が根本から違います。

握手券や投票権で稼ぐAKBに対し、モー娘。の主戦場はCDに加えて、ライブや物販です。全国を回って、チケットも物販もしっかり売っています。

AKBは複数の事務所にメンバーが所属し、レコード会社もグループごとに違うというのは有名です。AKBが売れることにより、どのレコード会社もどの芸能事務所も儲けを出せる構造をつくっていると言われています。レコード会社や事務所だけでなく、出版社やテレビ局などに対しても、似たような利益分配がおこなわれるしくみをつくっています。

こうしてマスメディアなど利益関係者を囲い込むことで、「売れている」現象のプロデュースを成立させているAKB。

それに反して、モー娘。の場合は運営母体の自社――つまりアップフロントが、しっかり売上の大半を持っていきます。さらに、生写真のような原価の安い商品をファンがしっかり購入してくれるため、握手券付きCDよりのビジネスもよほど高い利益率です。

CDの売上低下やメディア出演減だけを持って「売れなくなった」とは言い切れないのですね。

何を持って「売れている」とするのかは意見が別れるところだと思いますが、モーニング娘。はモーニング娘。のやりかたで、ファンから支持されてきたのだといえます。

しかし、マスメディアの露出がないのに、どうしてそれほどの人気を継続することができるのでしょうか。また、特に2011年以降、ここ1年半の間に、モーニング娘。の人気が急激に上昇しているというのは何故でしょうか。

現在のモーニング娘。は11名。

そのうち、今年23歳になる6期メンバーの道重さゆみ(現リーダー)と、同じく今年23歳で6期メンバーの田中れいな(エース)の二人を除き、残りの9名は――すなわち9期メンバー4人、10期メンバー4人、そして11期の小田さくらの9名は――全員、2011年1月以降に加入したメンバーです。

11人中9人が中学生前後のほぼ新人アイドルというこの現状。

なぜファンを増やすことが出来たのか。

旧メンバーの卒業が続いたため、昔からのファンはむしろ離れた可能性が高いのです。にも関わらず、ファンは明らかに増えています。マスメディアへの露出が減ったにも関わらず、です(2012年の前半からは増えましたが)。

ここにきて人気を伸ばすことができているのは、いったい何故なのでしょうか。

もちろんパフォーマンスや楽曲のレベルが高いことは言うまでもありません。特に新垣里沙の卒業シングルとなった「恋愛ハンター」以降からは、音楽的な方向性も明確に示され、女性ヴォーカル・ダンスユニットとして完成度も高く、ハイレベルな作品を発表し続けていると僕は感じています。



また、新規のメンバーの将来性への期待も、勿論あると思います。20代中心だったメンバー構成が、がらりと10代中心のメンバー構成に変わったため、これから成長するメンバーを応援したいというファンが増えるのは当然だと思います。

それらの人気上昇要因を踏まえたうえで、押さえておきたいのは、マスメディアに頼らない、ウェブを最大限に活用したプロモーション戦略です。

恋愛ハンター以降、急激に増加しているといえるのが、YouTubeやニコニコ動画におけるファンビデオ、いわゆる「踊ってみた」の増加です。これらの動画は、公式チャンネルやツイッターでも取りあげられています。

これら「踊ってみた」における広報の中心となっているのは、9期メンバーの鈴木香音です。ニコニコ動画で彼女のファンである人気の踊り手に対し、「是非踊って欲しい」と呼びかけたことで実現したダンス動画はニコニコ動画だけで25万再生を記録し、それが呼び水となり、複数の踊り手がコピーダンスの動画を発表しました。


▲某大規模ダンスイベントでも披露されました

さらにプロデューサーであるつんく♂が、これらのファンビデオを自身のTwitterなどで公式に紹介しています。公式として「踊ってみた」動画を推奨している姿勢をとっているのです。

また、YouTubeの公式チャンネルは、海外からのファン獲得にも繋がりました。トップページへの特集掲載やファンビデオの増加が、海外人気を後押ししています。「踊ってみた」動画は海外のユーザーからも数多く投稿されているのです。また、このような海外からのファン急増に10期メンバーの佐藤優樹は新曲のプロモーションのため、英語によるメッセージ動画を投稿しています。

他にもUstream番組やアメーバスタジオなど、ネット放送を活用しています。マスメディアに頼らない発信方法で、モーニング娘。は活躍を広げているのです。

さらに、今月10日発売予定の51枚目のシングル「ワクテカ Take a chance」にいたっては、曲のタイトルからネットスラングを取り入れています。

そしてまさに、このタイトルこそ、最大限にウェブを利用したモーニング娘。のプロモーション戦略をそのまま表現してもいるんです。

10日に発売されるこのシングルの動画に先駆けて、ダンスリハーサル動画をはじめとして、ダンスレッスンの先生の動画や、「作りかけ」のミュージックビデオまでが次々に公開されました。つんく♂の手によってYouTubeのオフィシャルチャンネルに『流出』したのだとされています。

作りかけのミュージックビデオが完成前にネットで見られるというのはなかなか斬新ですよね。

リハーサル映像にはじまって、ミュージックビデオが完成していく様子を段階ごとに見ることができ、完成に近づいていく様子を見られる。

ファンにとってはまさに「ワクテカ」なプロモーションなんです。


▲ダンスショットバージョン。ダンスに力を入れているのも、新・モーニング娘。の特徴。

確かに、地上波だけでしかアイドルの現状を知らない世間のひとにとっては、モーニング娘。は過去のアイドルかもしれません。

しかし、火を絶やさずにしっかりと燃え続けた火を、新たな世代が受け継ぎ、こうした新しい戦いかたで、復活した不死鳥のように燃やしはじめているのが、現在のモーニング娘。だといえると僕は思います。

そう、「モーニング娘。」こそ、現在、もっとも「熱い」アイドルユニットと言えるのではないでしょうか。


追記:ブクマで指摘された通り、娘。も握手会を行っている件について。これについては、僕は下記のブログの意見に寄っています。しかし個人的には握手会はあまり好きではありません。必要とされているのかもしれませんが。

握手会擁護小論
http://ameblo.jp/laternamagika/entry-11372378915.html


UP FRONT WORKS Z = MUSIC =
発売日:2012-09-12