2013年2月14日木曜日

道重さゆみについてそろそろ語りだすべきときだ

サユミンランドールという言葉を聞いたことはあるでしょうか?

モーニング娘。の第8代目リーダー・道重さゆみがセルフプロデュースした自身の写真集、そして自身のアメーバブログの両方につけられたタイトルが「サユミンランドール」です。

道重さゆみは、きゃりーぱみゅぱみゅと対照的に語ることのできる「Kawaii」カルチャーの担い手になりうる、というのが僕の意見です。

それを象徴するのが、彼女がセルフプロデュースした「サユミンランドール」というフレーズです。


「極度にカワイイ」と自称する道重さゆみのキャラクターはバラエティ番組などでも人気です。しかし最近では、そういったバラエティ番組では見せない彼女の実際のキャラクターを知っている人も多いはず。

この前もどこかの番組で、いつものぶりっ子ナルシストキャラ全開で「自分より可愛い子が嫌い」なんて発言をしていましたが、むしろ道重さゆみが「可愛い女の子に目がない」ことくらいはファンの間では周知の事実。毒舌なナルシストぶりっ子キャラはあくまでテレビ向けです。

むしろ、気質的には気遣いの人なのです。

空気を読み、キャラクターを演じ、バラドルとしての活躍もモーニング娘。の知名度をあげるためだと言う。ラジオ番組やブログのような一人仕事ですら、周囲に合わせながら自分の色を安定させる、そんな性格が感じられることが度々です。

対して、きゃりーぱみゅぱみゅは「自分の気持ち」を着飾らない、着飾りたくないと表現するキャラクターです。

つけまつげをつけたり、ふりそでを着たりするのは、100パーセントのじぶんを表現するため。じぶんがセンスいいと思う服を着て、発するメッセージは「わがまま ドキドキ このままでいたい」。

そうしたきゃりーのメッセージには、暗黙に「現実は現実としてどうしようもない」という前提が隠されています。世界はどうあるかは重要ではないし変えようもない、そこでじぶんがどう楽しんで生きようとしていくのかが大事なのだ、というニュアンス。

それはプロデューサーである中田ヤスタカの哲学が反映された強者のメッセージであり、きゃりーANANで「今日も明日もバイト」と、現実を明るく歌ってみせるところに象徴されています。

しかし、きゃりーが象徴するといわれる原宿ガールに連なる青文字系女の子の系譜には、そうした現実をサヴァイブする女子の感性より、むしろ道重さゆみ的なロマンティシズムの感性こそが、もともと連綿とあったと思うのです。アイドル、少女漫画、ファンシーグッズなど、少女・乙女が焦がれたKawaiiの系譜です。

「周囲の視線」を受けとめて現実を憎んだり楽しんだりと「揺れ」ながら、そのうえで「ひそかに」、あるいは「思い切って」、自分が自分で可愛いと思う「ファンタジー」に身を寄せる、リアリティーと意識的に切り離されたロマンティシズム的「Kawaii」の発露。

ときに現実に困惑し、それでもときに現実を笑顔で受け止め、そうしたなかでも「ファンタジーとしてのステージ」でロマンティックに自分を好きに可愛くあろうとする――「ヨシ! 今日も可愛いゾ!」と鏡に向かうさゆ。

ファッション的にもドメスティックなものを愛して受け止め再発信するきゃりーに対し、道重さゆみが愛するMILKに代表されるロリータ・ファッションは、欧米への憧れと想像力、ロマンティシズムなどをエンジンにしたもので、この点でもさゆときゃりーは対照的です。

【可愛すぎる】MILKを着た道重さゆみ-NAVERまとめ
http://matome.naver.jp/odai/2136016158275372401

東京都出身で都会育ちのきゃりーに対し、龍ヶ崎桃子(下妻物語)と同じく地方出身のさゆ。小学生の頃まで母をフランス人だと信じていたというエピソードにもさゆらしさを感じずにはいられません。



と、ここまで語って、実はここからが本題なのです。

最近、道重さゆみのソロ楽曲やデュエット曲を三曲続けて、大久保薫が手がけているのですが、これらの楽曲が、また道重さゆみにものすごく合っているので是非紹介したいのです。

僕はこれぞ「サユミンランドール」だと思うのです。道重さゆみ的ロマンティシズムを絶妙に捉えた表現全般を、僕は何となくそう呼びたいと思っています。

特に「ラララのピピピ」。

どれも、日本の「Kawaii」カルチャーのロマンティシズム的な側面を担うのは、道重さゆみなのだと思わせる楽曲です。

ラララのピピピ(モーニング娘。アルバム『⑬カラフルキャラクター』収録曲)


好きだな君が(モーニング娘。アルバム『12,スマート』収録曲、譜久村聖とのデュエット)


哀愁ロマンティック(Help me収録曲、譜久村聖とのデュエット)


彼女こそ、「キミノヒトミニコイシテル」を歌った深田恭子の正当な後継者だと思います。音痴さを電子音で加工しまくるところも、作り物感が素晴らしく良いです。


しかし、モーニング娘。リーダーとしての道重さゆみにも魅力があるため、ソロで活躍して欲しいとも言い難いのが悩ましいところですね。

道重さん本人はモーニング娘。やハロー!プロジェクトをこよなく愛していて、現在のモーニング娘。を盛り立てていくことに目下の関心が集中しているようなので。

モーニング娘。としての道重さゆみだけでなく、ひとりのアーティスト・道重さゆみとしての活動ももっと増えてほしいなあと僕は思っているのですが。